「梅毒が拡大しています」――。
このことは風俗で働く皆さんであれば、すでにご存じだと思います。
性感染症(STD)のひとつである「梅毒」は、ひと昔前の病気と思われていましたが、現在、急激に感染者が増加。
2022年には1万例を超える報告があがっており、特に20代女性の感染が極めて高くなっています。
※図表のいずれも、2021年は、第1~52週2022年10月8日時点集計値(暫定値)、2022年は第1~44週2022年11月9日時点集計値の報告を対象。
以前はソープランドに勤務していたA子さん(仮名)。なんと、風俗のお仕事から離れていた半年後に梅毒が発覚したといいます。
その際、多くの人に梅毒のことを知ってもらおうと、Twitterを利用し感染から完治に至るまでの情報を発信し、啓蒙活動に取り組んでいたそう。
今回は、A子さんに当時の様子を振り返っていただき、ご自身が感じた梅毒の怖さや、注意すべき点などをお聞きしました。
風俗の仕事を辞めて半年後に発覚。「まさか自分が?」
約3年間勤務したソープランド。一旦、少し休もうと、お店を辞めて、しばらくゆっくりしていたんです。
退店から半年ほどしたある時、手のひらに赤い発疹ができていることに気づきました。
その他にも、鼠けい部、ウエスト周りなど、洋服や下着でかぶれてしまったと勘違いするような場所にも赤いポツポツが。
「うわ、これは性病かもしれない」と、すぐに思いました。
というのも、私は元々肌が強く、ソープ時代にも一切肌荒れをしたことがなったんです。
すぐに性感染症専門のクリニックへ行きました。
結果は「梅毒」。
まさか自分が?今になって?
その瞬間、思わず泣いてしまい、受付の女性が優しくなだめるように「薬で治るから安心してください」と声をかけてくれました。
今までクラミジアは3回感染したことがありますが、梅毒はさすがにショックで。
やはい怖いイメージもありましたし、自分がお客様を感染させてしまったかもしれない。そして、気づかなかった半年の間に、今もどこかで梅毒が拡がっているかもしれない。
それが精神的に一番辛かったです。
(写真提供:A子さん)
今、梅毒が爆発的に感染拡大している要因のひとつは潜伏期間の長さだと思うんです。
梅毒の潜伏期間はおよそ3週間。長ければ13週間と幅があります。しかも、無症状だったり、出てもすぐに消えることもあり、気づかないまま進行してしまう。
潜伏期間は性器の異常も見えないので、まったくどのお客様から感染したのかわからないし、お客様も私が梅毒なんて気づいていなかった。これって、すごく怖いことですよね。
また、性感染症の検査をするお客様が本当に少ないというのも、梅毒が増加し続ける要因のひとつ。
女の子は性病の検査をお店で義務付けられていたりしますが、検査を受けてくださるお客様はごく一部です。
感染したお客様が、女の子と遊べば、その子が感染する。そしてまた違うお客様に感染させてしまう……。
ぜひ、男性も定期的に検査をしてほしい。これは強く望みます。
>男性必見!お客様にも知ってほしい性感染症検査の重要性 ヒメクリ×予防会
もしもの時のためのシミュレーションを。
ソープを辞めた翌日に、性感染症のオール検査を受けたんです。すべて陰性が出たので、気分も晴れ晴れ、すっかり安心していました。
後から調べて知ったのですが、梅毒の陽性反応は、早くても3週間以降。潜伏期間中は、私も症状が出ていなかったと思うので、全く気付きませんでした。
やはり月に一度の定期検査は必須。梅毒にいたっては、追加検査をして月に2回受けておけば早期発見がより可能になると思います。
自分が感染したことで、お付き合いしているパートナーに告げることも、勇気がいりました。
そのパートナーは、以前私が風俗で働いていたことを知っていたのですが、それでも申し訳ない気持ちでいっぱいでした。でも、躊躇している時間はなかったので、急いで検査に行ってもらいました。
幸い結果は陰性。たまたま運がよかったのでしょう。ほっと胸をなでおろしました。
今、私は、たまたま知人に紹介されたソフトサービスのジャンルに就いています。
性感染症が怖ければ、粘膜接触のないお仕事をすれば良いのでしょうが、そうもいかない方もいます。また、自分の働くジャンルに誇りをもっている方も多いでしょう。
梅毒は粘膜接触があるお仕事をしていれば、絶対に感染しないとは言い切れません。
私から皆さんに「もしも感染した際に備えて」アドバイスすることといえば
感染した時のシミュレーションをしておくこと。これに尽きます。
風俗で働く子は1日で大金を稼げるため、非日常的な生活をしている子も多いんです。
家賃にしても、ホスト遊びにしても……。
感染したら半年間は働けないと思うので、最低限、半年は困らないくらいの貯金はしておいたほうが良いですね。
感染とその後の経過。そして必要なこと。
梅毒に感染すると、基本は薬を飲んで治療をします。私の場合は、3、4か月、薬を飲み続けているうちに症状が治まり、薬を飲み切ったタイミングで検査。そこで初めて完治と認められました。
(写真提供:A子さん)
感染してからは、症状の経過や、ネットで調べた情報をTwitterで発信。
一般的な梅毒感染の経過と自分の症状を照らし合わせてみたのですが、初期症状(第1期)のしこりはなかったんですよね。あったかもしれないけれど、自分では気づかないくらいのものだったはず。痛みやかゆみもなかったんですよね。
第1期の症状は、消えてしまうそうなので、そのまま潜伏。赤い発疹が出る第2期で初めて気づいたというわけです。
梅毒について理解を深めましょう
梅毒とは
梅毒は梅毒トレポネーマという細菌が感染することで発症する性感染症で、感染者との粘膜や皮膚の接触を伴うセックス(膣性交、肛門性交、オーラルセックス)などで感染。
感染すると、性器や肛門、口にしこりができたり、全身に発疹(ほっしん)が現れたりしますが、一旦症状が消えるため治ったと間違われ、発見が遅れる危険があります。
また検査や治療が遅れたり、治療せずに放置すると脳や心臓に重大な合併症を起こしたり、HIVの感染リスクを高める可能性もあります。
症状
梅毒は、性交時に皮膚や粘膜の微細な傷口から感染し、まず感染部位に限局した皮膚病変をつくります。やがて血行性に拡散し、全身の臓器を侵すようになります。
基本的に感染後約3週間ほどで発症し、感染後の期間とその症状によって第1期から第4期までの4段階に分類されます。
第1期
潜伏期間をすぎたあと、感染後約1~3か月で、感染がおきた部位(主に陰部、口唇部、口腔内、肛門等)にしこりができたり、鼠径部のリンパ節が腫れることがあります。これらは痛みがないことも多く、治療をしなくても症状は自然に軽快します。
しかし、体内から病原体がいなくなったわけではないため、他の人にうつす可能性も。感染した可能性がある場合には、この時期に梅毒の検査が勧められます。
第2期
感染から3か月程度が経過すると、手のひらや足の裏など、全身に発疹ができます。これは、小さなバラの花に似ていることから「バラ疹(ばらしん)」とよばれています。
その他に、発熱やけん怠感な、さまざまな症状が出ることがあります。
アレルギー、風しん等に間違えられることもあり、この時期に適切な治療を受けられなかった場合、数年後に複数の臓器の障害につながる危険性も。
第3期
感染から3年程度たって全身で炎症が起こる時期です。治療法が確立されている現代では、第2期梅毒の状態で病状が発見されることが多いため、第3期梅毒まで重症化していく例は、ほとんとどありません。
第4期
その後、感染から数年~数10年後の末期状態が第4期梅毒。心臓、血管、神経の異常が現れることがあります。ここまで重症化してしまうと病状の完治は極めて難しく、治療によって命を取り留めたとしても何らかの後遺症が残ることが多いと言われています。
梅毒の治療方法・期間
(写真提供:A子さん)
梅毒は、ペニシリン系の抗菌薬を用いた治療が行われ、治療期間は、病気が進行するほど長くなります。
治療期間とは、お薬を飲む期間。内服薬での治療後は、定期的に検査を受け、完治したかを確認。完治までは、治療終了から半年以内が目安です。
症状がなくなったからと自己判断で服薬をやめず、必ず担当医の指示に従ってください。
治療期間の目安 ※治療期間には個人差があります
第1期梅毒 | 1~4週間 |
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第2期梅毒 | 4~8週間 |
第3期梅毒以上 | 8~12週間 |
性感染症の検査、治療を受けるなら『予防会』
感染拡大の梅毒は、潜伏期間が長いのが特徴。今回のA子さんは、風俗のお仕事を辞めて、半年後に感染が発覚。もしかしたら、同じように数か月前に風俗で働いていた方も、梅毒が潜伏しているかもしれません。
また、現役の方は、月に一度の定期検査以外でも、単体で梅毒の検査をプラスすると、より安心ですよ。
梅毒だけでなくすべての性感染症において、重症化リスクを防ぐには早期発見が何よりも大切。風俗に関わる女の子、そしてお客様にとって定期的な性感染症の検査を行いましょう。
『予防会』は、性感染症予防と蔓延防止に真剣な先生ばかり。風俗嬢への「偏見」も一切なく、とても親身になって相談に乗ってくれます。風俗で安心安全に働くために、信頼性と明るさを兼ね備えたクリニックを「かかりつけ医」に持つことをオススメします。
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