2021年11月15日 更新

悩み、欲望、好奇心。性感師・征木寛が見た「女性向け風俗の現場」とは~前編~

「女性向け風俗の現場」
「女性向け風俗の現場」
征木 寛(まさきひろし)
昼は会社員、夜は女性向け風俗のセラピスト。年上の彼女にSEXのダメ出しをされ、参考書を片手に女性の身体、性について研究。風俗店を運営して7年目となる。女性の性に対する男性の間違った理解、男女の性のすれ違いについて書き下ろした、初の著書『女性向け風俗の現場』は発売直後に重版。スキューバダイビングやバイクのツーリングなどが趣味で、最近の楽しみはソロキャンプ。平日の夕方から近隣の山に行き、翌朝会社に出勤することもあるという行動派。

ここ10年ほどで爆発的に拡大した女性用風俗。現在では150店舗以上あるといわれている。

2021年5月に発刊された『女性向け風俗の現場』が新書のベストセラーに名を連ね、早くも2か月で重版となった。今回紹介するのは、その著者である、女性向け風俗の40代セラピスト、征木寛さん(源氏名)。

女性が風俗に求めるものは、明らかに男性とは異なる。征木さんの元へやって来る女性は「中イキ願望」「性交痛」「悩み解決」などを主とするため、皆さんがイメージする「恋人のような接客」「癒し」「ドキドキ感」といったタイプのサービスとはかけ離れているかもしれない。

征木さんはセラピストというよりも、「性感師」という表現がしっくりくる職人気質なのだ。

出版のノウハウを学び、指導を受け、3年がかりで執筆。そこまでして伝えたかったことは「男女の性のすれ違い」。そして特に誤った知識で女性を傷つけてしまう男性に向けた「大人の性教育」。

「女性向け風俗の現場」
本来セックスは気持ちいいものであるはずなのに、満たされていないどころか、苦痛すら感じている女性の多いこと。これは、個人レベルではなく社会的な問題なのではないか。

昼は会社員、夜は歌舞伎町をはじめとするラブホ街を仕事場とする征木さん。会社員といっても国家資格を持つエリートサラリーマン。金銭に不自由はないが、あることがきっかけで女性向け風俗のセラピストとして活動をするようになった。

この記事を通し、風俗で働く女性も今一度自分の身体や、性について考えるきっかけになれば。

ぜひ男性にも、デリケートな女性を優しく扱うための指南書として、本書を一読してほしい。

「演技」や「痛み」から解放されたい女性たち

「女性向け風俗の現場」

私のもとへやって来る女性は本当にさまざまです。

長年セックスレスに悩む40~50代の女性、性交痛に悩む女性、感じているフリに疲れた女性、年齢を重ね、自信を喪失してしまっている女性。最近はプロの技術を試してみたいと連絡をくださる20代のお客様も増えました。

もちろん風俗嬢さんもいらっしゃいます。彼女たちも性を扱うプロであるはずなのに、自分は中イキを体験したことがない、と。また、単純に同業者として私と話がしたい、といった方も多いですね。

私は、昼間は普通の会社員。国家資格を保有しており、おかげさまで収入は安定しています。夜の仕事、女性向け風俗のセラピストとしては7年目。きっかけは、当時付き合っていた年上の彼女に、自分のセックスをダメ出しされたことからです。

かれこれ15年ほど前になるでしょうか。自分のセックスには自信があったのですが、彼女から「全然気持ちよくない」とズバリ言われまして(苦笑)。彼女から手渡されたのが「サティスファクション」という、女性が満足するためのセックスや愛撫に関する図解書でした。

その本を片手に、いろいろ試しているうちに、驚くほど敏感になり、感じていく彼女を見て、楽しくなってきたんです。

と、同時に、女性が気持ちいいと思っていたことが、全くの間違いだと気付いたのです。

今までのセックスは単なる自己満足だった

「女性向け風俗の現場」

残念ながらその彼女とは別れてしまったのですが、元来研究することが好きな私は、「女性の身体についてもっと知りたい、もっと悦んでもらいたい」、という気持ちが強くなりました。

とはいえ、研究するにも、手技を試すにも相手がいないため、デリヘル嬢を呼んだり、ハプニングバーに通うようになりました。そこは自分の性欲を解消するためのものではなく、自分が学んだ性感マッサージを試す場として。当然挿入は行いません。

次第に、ハプニングバーに足を運べば必ず女性から指名が入るようになり、他の男性のもとへ女性が行きたがらないという現象まで起きてしまいました。

ハプニングバーはご存じのとおり、他人のセックスを見ることができますが、覗いてみると男性がせわしなく動いたり、力任せだったり、女性の「スイッチが入る瞬間」を全く意識していない。客観的に見てもダメなところがよく分かりましたし、まさに昔の自分を見ているようで(笑)

人それぞれ感じるポイントは違うし、膣の構造も、悩みも、開発のされ方も異なる。

女性と接するたびに施術の奥深さを実感し、もっと極めたいと思うようになりました。

技術だけで勝負するから、服さえ脱ぎません

「女性向け風俗の現場」
私は、当時自分のブログに施術のレポートを掲載していたんですね。モニター募集をしてみたところたくさんの応募がありました。

そこで、施術をさせていただいた方からの「マッサージだけでイケる。そのテクニックはお金を取れるレベル」という言葉に後押しをされ、開業を決意。

お店の届け出も提出し、ついに夜のホテル街を仕事場にするという、想像もしていなかったダブルワーク生活が始まりました。

お店を立ち上げた当初は、技術で勝負するというより、今流行の恋人接客そのもの。お客様の要望に応えるのが最善だと思っていたからです。

今だから言えますが、女性から挿入してほしいと言われれば挿入もしました

どこまでするのが正しいのか分からなかったんですね。

でも、一度痛い目に遭ってからは、接客方法を一新(笑)。相手が本気になればなるほど、何かのきっかけで豹変します。今では技術だけで勝負。服さえ脱ぐことはありません

自分には疑似恋愛的な活動よりも、施術に集中するほうが合っていると思いますし、色恋でお客様の心を掴んでしまうと、自分も相手もしんどくなる。風俗嬢さんもきっと同じですよね。

この仕事で成功するには、スキルや知識、誠実な人柄はもちろんですが、お客さまとの距離の取り方も重要な要素だと感じています。

後編に続く。

「女性向け風俗の現場」

サポータープロフィール

みやねぇ

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  • みっけStory編集部

風俗キャストをサポートするWebマガジン「みっけStory」編集長。生粋の江戸っ子で、情にもろいタイプ。路上で拾ったじいさん猫が宝物(→18歳で昨年天国へ…)。お酒と美味しいパンは正義♡趣味はマラソンと阿波おどり。ともに歴12年。最近は筋トレにハマってます。三角筋と大円筋好き♡

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