2021年8月31日 更新

悩み、欲望、好奇心。性感師・征木寛が見た「女性向け風俗の現場」とは~後編~

「女性向け風俗の現場」
「女性向け風俗の現場」
征木 寛(まさきひろし)
昼は会社員、夜は女性向け風俗のセラピスト。年上の彼女にSEXのダメ出しをされ、参考書を片手に女性の身体、性について研究。風俗店を運営して7年目となる。女性の性に対する男性の間違った理解、男女の性のすれ違いについて書き下ろした、初の著書『女性向け風俗の現場』は発売直後に重版。スキューバダイビングやバイクのツーリングなどが趣味で、最近の楽しみはソロキャンプ。平日の夕方から近隣の山に行き、翌朝会社に出勤することもあるという行動派。

この記事は「後編」です。

彼女から自分のセックスをダメ出しされ、女性の性を研究。性交痛の改善や膣の感覚開発などに特化し、今では、宣伝をせず予約が数か月待ちという、女性用風俗の人気セラピストとなった征木さん。

利用客の切実な性の悩みに直面し「男性の意識を変えないと、いつまでも女性は救えない」と考え、現状を伝える手段として本の出版を決意。ノウハウを学ぶためにゼミに通い、2021年5月、初の著書「女性向け風俗の現場」を発刊。

後編では征木さんが考える、今後の課題、そして夢についてお聞かせいただいた。

前編はコチラ
>>悩み、欲望、好奇心。性感師・征木寛が見た「女性向け風俗の現場」とは~前編~

自分の身体の問題だと、悩みを抱え込む女性たち

「女性向け風俗の現場」

「感じている演技をしてしまいます」
「女性として自信を取り戻したいんです」
「痛いのにやめてほしいと言えません」
「中イキを体験してみたいです」

開業してから7年目。およそ600人以上の女性を施術してきました。性の悩みの原因が男性にあるにもかかわらず、自身の身体の問題と思い込んでいる女性もいます。

しかし男性は、そんな切実な女性の悩みにほとんど気づいていません。男性が「痛い?」「気持ちいい?」といった声を掛けても、女性は本音が言えずに我慢をしているのです。

なぜかと聞いてみると「頑張ってくれているのに気持ちよくないとは言えない」「長年演技をしているのに今さら本音を切り出せない」との答え。

「女性向け風俗の現場」

性行為は本来、互いの絆を深めるために行うべきもの。しかし、AVの世界を信じてしまう男性と、それをNOとは言えない女性。乱暴ではないにせよ、一生懸命になっている男性に気を遣い、感じているフリをする女性。これではますます溝は深まってしまいます。

「主人が最高のパートナー」と語る女性が、なぜ私の前で裸になるのか不思議でたまりませんでした。「愛しているけれどセックスだけは合わない。でも、それ以外は最高なんです」と。

女性向け風俗の現場で直面したのは、そんな深刻な性のすれ違いでした。

性の悩みを解決し、膣の感覚改善に特化した「性感師」

「女性向け風俗の現場」

そもそも女性向け風俗ができた当初(1970年代)は、性行為がうまくいっていない夫婦へのサポートが目的でした。整体師など身体の知識とマッサージのスキルを持つ人たちが、裏メニュー的に行うケースが多かったようです。

当時は、女性向け風俗店で働く男性のことを性感マッサージ師性感師と呼んでいましたが、数年前からセラピストという呼称が広まってきました。

性の悩みを解決したり、感覚改善のための施術をしているため、自分としてはセラピストよりも「性感師」と呼ばれるほうがしっくりきますね。

単なる性的な欲求不満の解消であればセフレを作ればいいのでしょうが、男性のテクニックがなければ悩みは解決できません。また、パートナーがいる女性は、不特定多数の男性と関係を持つことを望んでいないので、私のようなセラピスト(性感師)を頼って来るのです。

繰り返しになりますが、恋人接客はしないので、悩み解決だけを望む女性には好都合なのだと思います。

男女のすれ違いが招くセックスレスは社会的な大問題

「女性向け風俗の現場」

私が今回本を執筆しようと思った理由は、性のすれ違いは個人だけの問題でなく、社会的な問題なのではと考えたからです。

男性への問題提起。そして、女性へは「あなたの身体はおかしくない」と伝えるために。いってみれば「大人の性教育」ですね。

本の出版にあたっては、ホワイトハンズの坂爪さんが、風俗を題材にした執筆者を育てるという「坂爪ゼミ」を開講しており、イチから執筆のノウハウを学びました。

おかげさまでプレジデントオンラインなどのメディアにも取り上げていただいたり、Amazonのレビューでも多くの感想をいただき、男女問わず、性について考え直してもらう良い機会ができたと思います。

大好きな人と最高のセックスができれば、それが一番幸せなことですよね。

「女性向け風俗の現場」

整体やマッサージ感覚で定期的に来てくれる方もいらっしゃいますが、私の仕事は性の悩みを解決すること。二度とお会いすることはなくても「性行為ができるようになりました」「結婚して母となりました」「綺麗になったと言われます」といった報告が、何よりの喜びとなっています。

将来的な目標は、私が得た知識、技術を多くの人に伝えていくこと。自分がかつてそうだったように男性が女性の悩みを試行錯誤しながら解決できるようになってほしいのです。私の手技はホームページなどでも伝えていますし、こうしたメディアを通じ、どんどん問題提起をしていきたいですね。

女性の身体はデリケートですし、心の解放が重要。濡れたからといって、すぐに挿入していい、というわけではないんですよね。それを分かっていない男性が多すぎます。

はっきり言って、セックスが上手な男性はモテます。上手、というのは決して力任せでなく、自己本位でなく、相手のカラダの反応を見ながらプレイができるということ。これができれば、結果的に男女とも、気持ちのいいセックスに繋がるのです。

セックスの悩みは、病院に行っても解決にならないことも多いですし、一般的なマッサージ師は下半身への施術はできません。だから、私が得た知識・スキルを多くの男性に伝えていきたいと考えています。もはや使命感のような(笑)。

悩める男女の性生活をハッピーにすることは、私にとって一番のやりがいです。今まで以上に本腰を入れて行っていきたいので、そろそろ会社員は辞めないとならない気がしています(笑)。

「女性向け風俗の現場」

「女性向け風俗」の現場~彼女たちは何を求めているのか?~ (光文社新書)

第1章 演技に疲れた女性たち/第2章 独身女性の胸の内/第3章 50代からの風俗/第4章 感じない悩み・性交痛/第5章 セックスレスの夫婦たち/第6章 処女のお客様/第7章 中イキを経験させて下さい/第8章 喪失感を抱える障がい者/第9章 ユーザー座談会/第10章 女性向け風俗の裏話/第11章 日本の男女の性、未来予想

「女性向け風俗の現場」

サポータープロフィール

みやねぇ

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  • みっけStory編集部

風俗キャストをサポートするWebマガジン「みっけStory」編集長。生粋の江戸っ子で、情にもろいタイプ。路上で拾ったじいさん猫が宝物(→18歳で昨年天国へ…)。お酒と美味しいパンは正義♡趣味はマラソンと阿波おどり。ともに歴12年。最近は筋トレにハマってます。三角筋と大円筋好き♡

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