前回の記事では「聴く」ことの重要さもお話しました。「聴」という漢字を分解すると耳、目、心の文字が現れてきます。とても興味深いですね。
接客の基本は、まさにお客様の話に耳を傾け、目を配り、心を込めて一生懸命サービスをすること。これに尽きます。
今回のテーマは接客の心構え。
似て非なるプロとしての接客と間違った接客の違い。また、何気なくやってしまっていることがマイナスイメージになる場合もあります。
では早速、これらのことを詳しく説明していきましょう。
「甘え上手」と「ただのおねだり」は違います
男性はいつだって、女性に甘えられると嬉しいもの。うまく甘えられる子は、指名をいただくことも多いでしょう。
でも、猫なで声で甘えた声を出すことは、甘えるということではありません。
お客様はお金を払って来店してくれます。そう考えた場合、どんなおねだりなら、ぐっとくるでしょうか。やはりプレイに関しての積極的なおねだりが一番嬉しいのです。
「私の服脱がせて~」「ほっぺにチュッってして」「抱っこして」「このプレイ習ってきたから試したいな」「もっとこうしていい?」などです。
これらに関しては、嫌な気分になる男性はいませんよね。しつこいくらいにまとわりついてもOK! 「してくれなきゃいやー」など、かわいく駄々をこねるのは、自分を印象づけるために非常に有効です。
逆に良くないのは、お金、食べ物、ブランド品などの高級品をねだること。
たとえ安いものであっても、なぜお給料をもらっているのに自分で買わないのですか?
高額なプレイ料金を払っていただくお客様に、さらにまたお金を使わせるのですか?
常連さんで気心を知った方であれば、サプライズで手土産を持ってきていただくこともあるかもしれません。しかし、それを当然と思ったり、自分から積極的におねだりするのは、大きな間違いです。
プレイ料金をお支払いいただき、サービスで返すのが風俗嬢。本来、仕事である以上、それだけの関係なのです。
その時は良くても、万が一お客様との間でトラブルがあった際「あの時、欲しいとねだられたから買ってやったのに」など、後々面倒なことになってしまうケースもあります。
ここ最近は、プライベートと仕事の境界線がなくなっている人が増えている気がします。
安易なおねだりは、色恋も含め、金銭トラブル、ストーカーなどのリスクがあることを肝に銘じておいてくださいね。
お客様が求める「素人らしさ」とは
素人っぽさを売りにしている店といっても、ただお客様にお任せして、サービスを怠るようでは、仕事とは言えません。少なくとも仕事として風俗業に従事している以上、素人ではないのですから。
以前も書きましたが、努力をしない風俗嬢は売春婦と同じです。
ソープであっても、簡易的なソフトサービスであっても、お金をいただくプロとして、素晴らしい接客を提供してほしいと思います。
私の講習に来る子のなかにも、素人店の子がいます。お店側が「何も覚えなくて良い。そのままで大丈夫」と言って、指導を仰いでも、一切教えてくれないとか。店側がこのような対応では女の子もかわいそうです。
その女の子は「このままではダメだ。お客様に喜んでもらえるよう、いろいろな技術を身につけたい」と言って、自ら調べ、私を訪ねてきたのです。
風俗未経験の子であれば最初は「何もできない、わからない」のが売りになるでしょうが、経験を積んでも進歩がない女の子をお客様は指名し続けるでしょうか。
本来、お客様の期待は常に高くなっていくものなのです。
お客様が素人店に求めるのものは、一生懸命な姿、謙虚な気持ち。
たとえ技術は伴わなくても、自分のために頑張ってくれる姿にグッとくるのです。
なぜか、プロっぽくなってしまうからと、わざと素人のフリをする女の子もいるようですが、接客のプロとしてお客様が満足できるサービスを提供するのは当然の義務です。
自分の価値は自分でしか上げることはできません。
そのために、いつまでも素人気分でいてはいけないのです。
技術も接客もなかなか上達をしない子もいます。それでも頑張れば必ず認めてもらえる日がきます。
「この前習ったプレイをお客さんに試したけど失敗しちゃったんです。でも、嬉しかったって言ってもらえました!」。
そんな声を聞くと、私も飛び上がるほど嬉しくなるんです。
良いサービスも、押し付けては逆効果
技術を身につけること、技術力があることは大変素晴らしいのですが、お客様の反応を見ずに、自己満足のテクニックに走ってしまう方がいます。
例えば、お客様がもうフィニッシュを迎えたいと思っているのに、それを無視して自分の流れで最後までやりきろうとする子がいます。
「こうすることで喜んでもらえるはず」と思いこんでしまい、周りが見えなくなっているのですね。
心構えは素晴らしいことですが、お客様が一番フィニッシュをしたいタイミングでさせてもらえず、結果不完全燃焼になってしまうこともあるのです。
また、話の盛り上がりに欠けるからと、いろいろ話しかけてしまう女の子。
お客様はおしゃべりが苦手なだけかもしれません。返事をしなければならない、というプレッシャーがますます居心地の悪い空気を作ってしまいます。
情報を収集することはサービス業において大事なことですが、風俗業の場合は相手に対し、何でもかんでも聞いてはいけません。仕事のこと、家庭のことなどを話したくないお客様も多数いらっしゃいます。
おしゃべりが苦手そうな方には、「今日は暑かったね」「お湯入れておくね」など、わざわざ相手が回答をしなくてもいいような「語りかけ」のトークをすれば、場が静まり返ることなく明るい雰囲気を保つことができるでしょう。
ちなみにプレイ中も同様です。返事を求めるような話しをすると頭に意識がいってしまうため、下半身に集中できなくなります。最悪な場合、勃たなくなることもあるので、プレイ中の会話は要注意です。風俗に来て、勃たないということはお客様にとって非常に恥ずかしいこと。二度とあなたを指名してくれなくないかもしれません。
同じ男性でも一人ひとり、年齢、趣味、趣向、性格も違います。
体力や精力にも個人差があるのですから、それらをしっかり観察し、その方にあった最善のサービスでもてなすことが重要です。
百年の恋も冷める、そのニオイ
風俗の仕事に限らず、心を解放するには肌と肌のふれあいは必要不可欠。私は女の子たちに会うたびに、口すっぱく「密着、密着」といい続けています。
相手のぬくもりを感じることで一気に距離が縮まるからです。
密着するということはお客様と顔を近づける場面もありますよね。そうしたことを考えずに餃子、焼肉、お酒など、ニオイがつくものを平気で前日に口にする子がいます。
密着されて、いきなり餃子くさい息を吹きかけられたら、どう思うでしょうか。
プレイを楽しむ気持ちも大きく減退してしまいますよね。
私たちの仕事は密着が基本です。仕事の前日はニオイが残らないような食事を意識しなくてはなりません。
また、少しだからと香水をつける子もいますが絶対にやめてください。
香水でなくても、香りが強いボディソープなどにも注意が必要です。なぜなら、自分で気づかなくても、密着すると香りが相手に移ってしまうからです。それに気づけばお客様のご家庭、パートナーに不信感を与えてしまうでしょう。
風俗はサービスを売るところであって、トラブルの原因を作ってはいけないのです。
あとは頭皮。講習中、頭皮のニオイが気になる女の子が結構いるのが事実。さすがにこれも自分では気づきにくい場所ですよね。
風俗嬢はたくさん汗をかきますし、湯気で蒸れる機会も多い仕事ですが、接客中に髪の毛は洗うことはほとんどないでしょう。
水を使わないシャンプーやウエットシートなどを利用して頭皮は清潔にするよう意識してみてください。
イヤなことをされた、言われたときは?
仕事を楽しんで行いたいなら、お客様のイヤな部分は見ないようにしたいところです。
しかし、中には嫌味を言ってくるお客様もいらっしゃるかもしれません。
あまりにも乱暴な態度をとるお客様がいたら、まず自分が言われてしまうような言動をしていなかったか考えてみてください。プレイ中に不機嫌になったのであれば、自分に非があったことも多いにありえます。まずは素直に謝って関係の修復を真っ先に行いましょう。
風俗の仕事に対して、あれこれ「小言」を並べるお客様もいます。こういう方は、この仕事にマイナスイメージをもっている場合も多いので、反論することは避け、逆に共感をしてみましょう。
→心配してくれてるんですね。ありがとうございます。夢があるので目標額まで頑張るつもりです!
また、外見に対して嫌味を言う人にも同様です。話しをうまく切り替えましょう。
→そっかぁ。じゃあこれからダイエットを始めようかな。○○さんはどんな体型が好き?
ネガティブでなく常にポジティブに返すことで、詰め寄ってくることも減るでしょう。反論するからお互いがイヤな気持ちになるのです。ポジティブな返事をしていたら、自分もおおらかになって、嫌味も嫌味だと感じなくなりますよ(笑)。
また、痛いことをされたら「もっとこうしてほしいの」と、これもぎゅっと抱きつき甘えながら伝えましょう。いきなり「痛い」と言われてしまうとお客様は楽しめなくなってしまいます。
それでもいつもツライ思いをするくらいなら、我慢をする必要はありません。
フロントに告げてください。仮に常連さんがひとり減ったとしても、自分を大切にしてくれる新しいお客様を獲得する努力をしていけばよいでしょう。
いかがでしたか? 今回のテーマは「接客の心構え」。本当はたくさんありすぎてこれだけでは足りないくらいです。
私たちはプロ。風俗は究極の接客業と言われています。プロの自覚とプライドをもって、日々頑張っていきましょう。
ではまた、次回お会いしましょうね。
沙也加。