- 新宿サンキュー うたこ
- 愛媛県出身。現在、性別適合手術をするための資金を稼ぐため、昼は会社員、夜と休日はニューハーフデリヘル嬢として勤務。元々は、幼稚園教諭だったが「男の先生」としていることが次第に窮屈になり退職。周囲からの情報が増えるにつれ、今までぼんやりと感じていた「心と体の不一致」を確信。女性ばかりが在籍するデリヘル「サンキューグループ」で、ランキング1位を獲得する人気嬢。好きな食べ物はメロンパン。モットーは「やらない後悔よりやる後悔」。
全国に40店舗以上を展開をする激安風俗「サンキューグループ」。うたこさんは新宿店に勤務しているニューハーフデリヘル嬢だが、なんとグループ全店舗で人気ランキングは堂々1位。ニューハーフ専門店ではないにも関わらず、だ。本当にチャーミングという言葉がぴったりで、男女問わず癒される人が多いのもうなずける。
正社員としての定職を持ちながら、毎日のように仕事帰りから朝まで、そして休日と、連日デリヘルバイトを掛け持ちしている。そこまでして働く理由は「女性になるため」。
近年、LGBTという言葉も一般的になり、性の多様化への理解が深まってきたものの、理想と現実のギャップは大きい。現に、彼女が望む“性別適合手術”は保険がきかず、高額な費用がかかるのだとか。
トランスジェンダーのうたこさん。以前よりは「まし」だけれど、決して「生きやすい」世の中まではほど遠い。それでも、カミングアウトをしてからは窮屈なネクタイも必要がなくなった。睾丸摘出手術をして、心が軽くなった。
スタジオ撮影でウェディングドレスを着た時、感極まって涙してしまったというエピソードを聞いて、何とも切なく、愛おしく、微笑ましく感じた。
身も心も本物の女性になるために――。夢が叶う日は、着実に近づいている。
- LGBTとは(ウィキペディアより抜粋)
- LGBTとは、レズビアン(Lesbian)、ゲイ(Gay)、両性愛(Bisexual)、トランスジェンダー(Transgender)の各単語の頭文字を組み合わせた表現である。トランスジェンダー(T)とは、ジェンダー・アイデンティティ(性自認)が、身体の性別とマッチしない人を指す。
ネクタイを外し、スカートに着替えるのは仕事が終わった後
子どもが大好きで、短大で資格を取得し、幼稚園の先生になりました。私はお絵描きが得意な男の先生。幼稚園って、基本的に女性社会なんですよね。やはり男女の壁を感じるし、力仕事を頼られたり。それが次第に辛くなってきたので、辞めてしまいました。
当時、性自認に関しては、知識もなく、ぼんやりと「人と違うな」と思う程度。学生時代に好きになった人は男性でしたが、告白なんてできなかったですね。幼稚園を辞めたあとは、独学で知識を習得しプログラマーとして正社員に。今も同じ会社に勤めています。
入社時は、ネクタイを締め、スーツを着て、普通に男性として働いていました。仕事が終わってからが、女性になる時間。スカートに着替え、メイクをして夜の街に繰り出していました。行く先は、LGBTも集まる新宿二丁目の飲み屋さん。最初はそんな飲み屋さんがあることすら知らなくて。今まで閉ざされていた心が、一気に解放されていくのを感じました。
趣味で始めたお芝居が、カミングアウトの機会を作ってくれた
飲み屋で知り合った方との縁で、トランスジェンダーで構成される劇団に入ったんです。お芝居も歌もまったくやったことはないけれど、すごく面白そうだなって。会社帰りや、お休みの日に稽古に励み、舞台にも立たせてもらうようになりました。
会社では男性の姿で働いていましたが、いずれは自分もトランスジェンダーであることを伝えたいと思っていたし、LGBTというものを理解してもらえるいい機会だと思ったんですね。そして、会社の人たちにも自分が舞台に立つ姿を見てほしいと思うようになったんです。
入社して3年が経った頃、ついに上司にカミングアウト。考えてみれば、ずいぶん長いこと我慢したかな(笑)。
ありがたいことに皆さん受け入れてくれて、実際にお芝居も何度も見にきてくれたんです。劇団は残念ながら私が入って2年で解散となってしまいましたが、みんなで過ごした時間は今でも宝物です。
性別適合手術の費用捻出のため、風俗店でアルバイトを開始
LGBTの言葉は一般的になってきましたが、本当の意味で理解している人は少ないです。実際に自分がそうでなければ分からない世界だし、いい意味でも悪い意味でも細分化されているため、さまざまなパターンが存在するんですよ。
私は、男性として生まれてきましたが、性自認は女性。恋愛対象は男性です。
近い将来、心と身体の性を一致させるための「性別適合手術(性転換手術)」を望んでいるため、今はその手術を行うための準備段階。手術費用を貯めることもそうだし、会社を長く休むことにもなるし。コロナ禍ということで、規制も多くて。
現状、睾丸摘出手術は済んでいて、女性ホルモンの投与を行っています。これにより胸も少しだけ膨らみが出てきました。一番変わったのは、髪の毛かな。細く女性らしい髪質になったのは嬉しいですね。
とはいえ、まだ私は男性の身体。そんな私が、風俗嬢として働くことになった理由はただひとつ、女性になるための手術費用を稼ぐためです。