2025年2月10日 更新

まりてん「聖と性」発売秘話。変わるもの、変わらないもの ~後編~

初の自叙伝「聖と性 私のほんとうの話」の2日後に、現役引退の発表をしたまりてん

前編では、発売に至るまでの経緯や、発売への想いを中心に語っていただきました。

この後編では、現役引退を決めた理由や、今後のこと。また、インタビューを通して、まりてんの変わらない部分、逆に変化した価値観も知ることができました。

縛らない、期待しない、押し付けない。
ナチュラルなスタイルこそが、成功の秘密なのかもしれません。

業界関係者オンリー!出版記念イベント開催

――本の発売前日、記念イベントを行いましたが、あれは良かったですね。個人的にもすごく面白かったです。

1部は講師陣によるキャストさん向けの内容で、2部は有名店の代表が登壇。実際に働く女の子と、経営側が一緒になるイベントって、業界初かもしれませんね。

――経営陣も客席の女の子に向けて、意見を聞いていたし、女の子も今後の風俗業界の動向なんかを聞けて、すごく有意義な時間だったと思います。

両方の立場や気持ちを理解する場になりましたよね。
風俗で働いている女の子も、経営側の話を普段聞くこともないでしょうし、興味深かったと思います。

SNS全盛期の今、売れる風俗嬢になるために必要なこと、店の在り方、なるほどと思う意見がたくさん聞けて、私も勉強になりました。

――経営陣とのパネルディスカッションでは「まりてんの将来」というお題もありましたが、その3日後には現役引退表明。これは以前から決めていたことなのでしょうか。

そうですね。引退についてはずっと考えていました。本を書こうと思ったのは、自分の中で一区切りという意味もあって。
この本を卒業文集的なものにしたかったんですよね。


――人気絶頂ですし、まだまだ現役としても活躍は出来ると思いますが、引退を決意した大きな理由は何だったのでしょう?

35歳っていうのが重くて(苦笑)

結婚の予定はないですけど、子どもを持つことに対して、真剣に向き合う時期に来ているんです。

以前、卵子凍結をしているのですが、産むのか産まないのか。
子どもを産むのであれば、まずは治療をしなければならないところもあったりで。

――確かに「出産」を視野に入れると、あまり先延ばしはできなくなりますね。

出産は別にしても、年齢的に身体がしんどくなっているのは確かです。

――イベントでも「まりてんさんは寝てください。働きすぎ」と言われていましたよね。現役、動画配信、イベント開催と、本当に忙しそうです。

そうですね。自分が前に出るだけでなく、所属している店舗(ブレンダ)のメディア戦略におけるコンサルなんかもしていてるんです。
今までは自分のキャパ以上に、仕事を引き受けすぎてた部分もあるので、これからは仕事も見極めてやっていきたいなとは思っています。

――現役を引退しても、今までどおり、まりてんを見ることはできるのですよね。

はい。YouTube配信やイベントも行います。ただ、風俗で働いている時のように1対1で「心のコア」に触れられる術がなくなるんですよね。

粘膜接触がなくて、コアに触れる仕事って何だろうって考えていて。占い師でもやろうかな(笑)

――もうかれこれ7年前、「サイドラインを経営する、まりな店長」のインタビューをさせていただいたじゃないですか。
お蔵入りになってしまったのですが、改めて読み返してみると当時と今、何も変わっていないということがわかって、感激したんですよね。
「帰り際に気持ちがあたたかくなる接客」もそうですし、「コアに触れたい」という気持ちは、常に持ち続けているんだな、と。

本当に懐かしいですね(笑)
その部分は、変わらないのですが、逆に大きく変わった面もあるんですよ。
サイドラインの頃の優しさって、おせっかいな優しさだったな、と気づいたんです。

「これだけ頑張ったんだから、忘れないでほしい、また来てほしい、感謝されたい」

お客さんにも、スタッフにも、女の子にも、勝手に自分の気持ちを押し付けて、見返りを求めていたんです。

なんかそれって間違っていたなって。

――具体的にどのようなことでしょうか。

例えば、ホストにハマっている女の子がいたら、その負のループから解放してあげようと、あれこれ説教じみたことを言ってしまいがちでした。
もちろん良かれと思ってアドバイスをするわけですが、その子にとって、今、目の前にあるものこそが、拠り所なんですよね。

私は、その人の面倒を一生見れるわけじゃない。責任を取れない。

自分を信じて身を委ねてくれても、私はそれに対して100%で返せない

なのに、自分の考えを押し付けようとしていたんです。

――深いですね。でもよくわかります。

寄り添うつもりでも、寄り添っていなかった。

その人が限界になった時に、手を差し伸べられるほうが、大事なんじゃないかって。

――なるほど。本書の締め方に通じるものがありますね。実は、読み終わったあと、ラストが意外とあっさりしているなと思ったんですよ。意見を述べつつも、押し付けない感じ。

私はこうするから、あれしてほしい、これもしてほしい。
私はこうだから、あなたもこう思うでしょ?は違うんですよね。

この考え方は、たくさんの失敗を経て、一番変わった部分かもしれません。

自分が違うと思えば、全力で正してあげたいと思ったし、全力で心配することが優しさだと勘違いをしていたんですよ。
でも、それってただのお節介。
突っ込まない優しさもあるんですよね。

みやねぇの編集後記

この自叙伝で明らかになった、まりてんの波乱万丈な人生。
でも、成功も失敗も、多くの経験が今のまりてんを形成しているのは事実で、そう思うと、すべてが無駄ではなかったんだろうなと。

遠回りは、学び。
道を誤まれば、また戻ればいい。

サイドライン時代、まりてんを取材した際のことを今も鮮明に覚えています。
宗教の話もセフレの話も包み隠さず話してくれて、驚きましたけど(笑)。

当時、私が記事のタイトルにしたのは「やさしい気持ちになれる、人」。
なぜなら、まりてんがどれだけ周りのことを考えて仕事をしているのか、手にとるようにわかったし、現に話を聞いて、やさしい気持ちになれたから。

私の強みはお客様の心に寄り添えること。共感力です。
誰にでも興味を持つし、もっと知りたくなる。それが伝わるから、相手も心を開いてくれるのかな、って思います。

そして、私が最も印象に残っているのは、この言葉。

仕事を楽しめるか。
人間が好きか。
うまくできなくてもいい。善人かどうか。
そして、いつだってやさしい気持ちを忘れずに。

今も昔も、変わらない。これこそが「まりてんのコア」なんだな。

サポータープロフィール

みやねぇ

みやねぇ

  • みっけStory編集部

風俗キャストをサポートするWebマガジン「みっけStory」編集長。生粋の江戸っ子で、情にもろいタイプ。路上で拾ったじいさん猫が宝物(→18歳で昨年天国へ…)。お酒と美味しいパンは正義♡趣味はマラソンと阿波おどり。ともに歴12年。最近は筋トレにハマってます。三角筋と大円筋好き♡

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